tyaba2書評

読書履歴としてのブログ

『ボッコちゃん』星新一

小学生の頃、父に勧められて読み始めたのが星新一ショートショート

数ある星新一の作品の中でも特に読みやすく、名作が揃っており、印象に強く残っていたのが今タイトルのボッコちゃん。

 

表題作品はもちろんのこと、「おーいでてこーい」「殺し屋ですのよ」「キツツキ計画」など、小学生が読んでも楽しめる作品となっている。

 

当時は純粋に物語を楽しんでいただけだったが、約20年経った今読み返してみると、面白さはそのままに、全く違った印象を受ける。

 

本作品の発売は1971年。前年に大阪万博が開催され、まだ見ぬ未来に国民が希望を持つ一方で学生運動は過激さを増していき、そしてジョンレノンがイマジンをリリースした年。

約半世紀も前に出版されたにもかかわらず、現代でも通用し評価され、現代社会の風刺とも取れる表現もふんだんに盛り込まれているところがすごい。

未来予知でもできたのではないかと疑うほど。

ジョージ・オーウェルの「一九八四年」やフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のような確立された近未来の物語ではなく、

もっと私たちの身近に感じるような近未来(便利な家電製品や薬品)、あるいはもっと先の未来(宇宙人や地球外生命体が出てくるような)が描かれている。

 

ひょっとすると5年後10年後50年後に再度読むとまた全く違った感想を持つかもしれない。

 

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