tyaba2書評

読書履歴としてのブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

『読書について』アルトゥール・ショーペンハウアー

読書をするときにはいつも付箋を近くに置いている。自身の為になる個所や気になったフレーズのページに貼り、いつでも振り返られるようにするためだ。 いい意味でも悪い意味でも付箋の数が多かったのが今回の『読書について』である。 ショーペンハウアーは…

『パプリカ』筒井康隆

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者であり、サイコピスト。彼女のもう一つの顔はPT機器(サイコセラピー機器)を使用し、他人の夢に入り込み、精神病、神経症、抑鬱症状を治療する夢探偵パプリカだった。 PT機器だけでも画期的な装置である…

『眼球奇譚』綾辻行人

綾辻行人の小説を読むのは本作品で3作目となる。 作者のデビュー作であり最も評価が高い『十角館の殺人』、アニメ化もされた『Another(上)(下)』に続いてだ。 普段小説を買うときは好きな作家の本を除き、ネットのおすすめ記事やAmazonのカスタマーレビュー…

『異類婚姻譚』本谷有希子

関テレで放送中の「セブンルール」に出ている綺麗な女性は誰だろう。 そんな興味で本谷有紀子を調べてみると、なんと芥川賞作家だった。普段読んでいる本とは少し毛色が違うが、受賞作品を読んでみたいと思い、書店で手に取った一冊。 「最近、自分の顔が旦…

吉田松陰『留魂録』

「万巻の書を読むに非ざるよりは、いずくんぞ千秋の人たるを得ん。」 多くの本を読まなければ、名を残す人物にはなれない。 また、松陰は「読書して学んでも行動しなければ意味がない」とも言っており、 私が本ブログを開設する一番の理由だった読書によって…

『ボッコちゃん』星新一

小学生の頃、父に勧められて読み始めたのが星新一のショートショート。 数ある星新一の作品の中でも特に読みやすく、名作が揃っており、印象に強く残っていたのが今タイトルのボッコちゃん。 表題作品はもちろんのこと、「おーいでてこーい」「殺し屋ですの…

『緋色の研究』アーサー・コナン・ドイル

ホームズシリーズを読み始めたきっかけは何だっただろう。 よく見かけるお薦めミステリー作品に出てきたからなのか、海外文学に憧れがあったからなのか全く思い出せない。 ただ読んでみて一つ思ったことはイメージだけで内容が難しそうだとか、自分には読む…

『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信

「この手記は誰にも見られてはなりません。もし見られたら、わたしはとても生きてはいられないでしょう。 それでも、書かずにはいられないのです。永遠に届かない告白が、いまのわたしには必要です。 わたしは恐い。恐ろしくてたまらない。もしやわたしが、…

『獣の奏者Ⅰ,Ⅱ』上橋菜穂子

私が高校生だったころNHKでアニメ化もされたこの作品。 著者、上橋菜穂子は最初に物語の主人公エリンが琴を弾き、その音色により王獣と呼ばれる鳥を手懐かせるという発想からストーリーを書き上げたそうだ。 物語は闘蛇(トウダ)(硬い鱗をもつ大型のトカゲの…